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    狭心症

 狭心症とは

冠血流の絶対的あるいは相対的低下により、心筋が一過性に虚血に陥ることにより生じる特有な胸部不快感(狭心痛)を主症状とする臨床症候群をいいます。

心筋細胞は他の臓器組織の細胞に比べて虚血に対してかなり耐えることができ、壊死に陥るか否かの可逆・不可逆の時間的ポイントは20~30分とされています。この短い冠動脈血途絶時に胸痛発作を伴う場合、これを狭心症といいます。

心臓は1日に約10万回ポンプとして血液を送り出しています。このため常に新鮮で酸素のある血液が心臓にも必要です。心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈が細くなったり、主に動脈硬化のために冠状動脈の血管が狭くなり、詰まりかかったりすると、、心臓への血液の流れが一時滞り、その結果、心臓へ栄養や酸素の供給が不足することによって起こります。

狭心症の発作は、動脈硬化のある人が、運動や入浴、ストレスなどで心臓に急激な負担をかけたときなどに起こり、まず軽い痛みではじまります。心臓部に締め付けられるような感じの痛みが起こるのが普通で、強い圧迫感を覚えることもあります。しかし、その痛みは耐えられないほど激しい痛みではなく、その持続時間は、軽ければ数10秒、長くて15分を越えることはありません。少しでも心臓の負担を少なくし、心臓への血の巡りが悪いことに対応しようとするからです。しかし、心臓に負担をかけた場合、また同じような発作を繰り返すことになります。狭心症の発作が何度も起こる人は、心筋梗塞に移行する危険があるので注意することが大切です。

狭心症には、階段を上ったり、急いで歩いたり、重い荷物を持ったときなどに起こる労作性狭心症と、夜間、特に早朝、就寝中に発作の起こる安静時狭心症があります。また、「労作性狭心症」と「異型狭心症」(冠攣縮性狭心症)とに分けられる場合もあります。労作性狭心症は、50代以降にみられる中年の病気ですが、食事の欧米化に伴い30代でも狭心症の病気がある場合もあります。


 狭心症の種類

狭心症は、どのような状況で起こったかによる誘因別の分類法に従えば、動作や精神的ストレスで誘発される労作狭心症と、夜中から明け方にかけた睡眠中や安静時に生じる安静狭心症に分けられます。

【労作狭心症】
階段を昇ったり、会議中のストレスなど日常の動作中またはその直後に起こるなど、狭心症のうち運動負荷によって胸痛発作が発現するものを労作性狭心症、あるいは、運動を負荷しなければ胸痛発作を伴わない安定した病態であるという意味から安定狭心症とも呼ばれています。

【安静狭心症】
労作狭心症に対して、安静(特に夜間就寝時)にしていても起きるものは安静時狭心症と呼ばれています。

【異型狭心症】
この病態は主に冠動脈の攣縮に起因するとされていますが、特にこの攣縮が発症の引き金になるものは異型狭心症と呼ばれています。

【不安定狭心症】
労作性狭心症の3週間以内の発症、最終の発作が1週間以内にあったもの、労作性狭心症の病像の憎悪、安静時狭心症の新たな出現の3つの病型を不安定狭心症と呼びます。これらは安定狭心症に比べて1回の発作時間が10~15分とやや長く、心筋梗塞に移行しやすい狭心症として臨床的にも重視されています。

(新規労作狭心症)
初めて労作狭心症が生じたか、6カ月以上の無症状期間をおいて再発したもの。

(変動型)
安定型狭心症であったものが、発作の頻度や持続時間、強さを増し、また簡単に誘発されるようになったもの。

(新規安静狭心症)
新しい安静時狭心症で、時に発作が15分以上持続し、ニトログリセリンに対する反応が悪く、痛みと共に一過性のST変化やT波の陰性化を伴うもの。


 狭心症の症状

狭心症の症状は、胸に痛みや重苦しさを感じ、圧迫されたり、しめつけられたりするような痛みが5~6分間続きます。痛む場所は、左胸、胸骨の裏側などが多く、そのほか、喉やあご、左肩や左腕、みぞおちなどに痛みを感じることもあります。場合によっては、右胸に症状が出るときもあります。また、喉が締め付けられる、肩や腕が痛いという場合もあります。珍しい症状としては、歯の痛みという場合もあります。

走ったり、重い荷物を持ったりとかして心臓に負担がかかると、数分間、長くても20分ぐらい圧迫感が続きます。発作であるということに特徴があります。

発作が30分以上続く場合は心筋梗塞の疑いがあります。また発作が頻繁に起きるときは心筋梗塞になりかかっていると考えられます。

【胸痛】
もっとも多い症状です。左前胸部からみぞおちあるいは左肩にかけての痛みです。締め付けられるような、動けないような痛みが多い。痛みは階段を上ったり、運動をしたり、風呂トイレのようにとっさに無意識に心臓に負担をかけるような時にも起こりやすい。休むと少しは楽になりますが、一度始まった発作がなかなか治まらないこともあります。どんどんひどくなる場合は心筋梗塞になった可能性があります。

【息苦しさ】 
心臓の機能が低下した場合に起こります。あるいは、胸痛が無く心臓に負担をかけた場合、息苦しさを認めます。どんどんひどくなる場合は、呼吸困難、顔色不良をみとめ、命にかかわることもあります。

【無症状もある】 
全く症状のない方もいます。特に高齢者、糖尿病の方に多い。冠動脈が徐々に細くなり、別の冠動脈が助けている場合に多い。

【その他の症状】 
腹痛、肩痛で悩んでいた方が実は狭心症、心筋梗塞であったという場合もあります。

【ひどい場合:失神、ショック、呼吸停止】 
急性心筋梗塞の場合は、心臓の機能の状態によっては、様々な症状を来たし、命にかかわる場合もあります。

症状及び診断(胸痛の項参照)
 1)狭心症の診断は、発作時の心電図変化を捉えることで確定します。
  1.発作時の心電図がある場合は、非発作時の心電図と比較し診断します。
  2.来院時胸痛がある場合には、12誘導心電図記録後、ニトロールなどを舌
   下投与し、投与後の症状・心電図変化より診断します。

 2)来院時には胸痛が消失し、さらに発作時の心電図がない症例でも、危険因
   子を有し、胸痛の性状が狭心症に典型的な場合は、狭心症として対応します。
   不安定狭心症の疑いがあれば原則として入院とし、薬剤は投与せずに次の
   発作を待ちます。その後72時間以内に発作が再発しなければ、トレッドミル
   負荷試験などを行い、冠動脈疾患の有無を推測します。 

 3)不安定狭心症は、心筋梗塞や突然死へ移行する危険性が高く、なかでも変
   動型狭心症・新規安静狭心症(特に発作の持続時間の長いものや発作の頻
   回なもの)は予後不良であり、治療の内容が予後に重大な影響を与えるた
   め、慎重な対応が大切です。


 狭心症の原因

労作性狭心症は冠状動脈の動脈硬化のために、肉体的・精神的労作が加わって、心臓の仕事量が急に増えたとき、冠状動脈がそれに見合った血液を流すことができないために、心筋の必要とする酸素量と冠状動脈の供給する酸素量のアンバランスが生じて起きます。また、コレステロール値が高い、糖尿病、高血圧があるなどで、冠状動脈硬化症(冠硬化)が起こって血管の内腔が狭くなっていることなども原因です。

安静時狭心症は冠硬化は軽くても、何らなの原因で血管が敏感になって安静時でも時ならず自然に血管が収縮する(れん縮と呼ぶ)現象によって起こると考えられています。

動脈硬化が進んでいるとき、血管の内壁にはコレステロールが粥(かゆ)状にこびりつき、これが血管の内側を細くして血液の流れを妨げています。細く狭くなった血管内では血液が流れにくくなるため、心臓の筋肉に十分な量の血液を送り込むことができません。
このため、階段を上ったり、走ったり、緊張や興奮したときなど、心臓に負担がかかると酸欠状態になり発作を起こすことがあります(労作狭心症)。また、睡眠中や安静時に、冠動脈が痙攣し、血管が一時的に狭くなることによって発作が起こることもあります(安静狭心症)。

動脈硬化は血管の異常であり、年とともに起こり、糖尿病、高脂血症、高血圧、腎臓病、喫煙、生活習慣、肥満そして体質によって起こりやすくなります。冠動脈の壁が動脈硬化で内腔が徐々に細くなる場合もあれば、血液が急に固まって細くなった冠動脈に詰まることもあります。

【労作狭心症と安静狭心症】
心臓は、1日に10万回も収縮と拡張を繰り返しているので、冠状動脈から特に左の下行枝、つまり左心室につながっている血管の数センチのところの劣化が起こりやすくなります。その部分は非常に動脈硬化を起こしやすく、又、狭窄も起こしやすいのです。狭窄が軽度の場合、それほど自覚はありませんが、運動量が多くなると、全身の酸素の要求が高まって、心臓の動きは非常に活発になります。血管が動脈硬化を起こしている場合、血液を十分に流し続けることができなくなり、心臓が苦しくなります。これが狭心症です。このように急に体を動かしたり、興奮したときに症状が起こるものが、狭心症の中で最も多い労作狭心症というもので、数分間激しい胸痛を伴います。
もう1つ、運動をしていない夜間睡眠中などに軽い冠状動脈の痙攣などから起こる安静時の狭心症があります。これを安静狭心症と言います。

【狭心症の危険因子】
(喫煙)
煙草の煙によって肺に達する空気が汚され、その中の酸素が少なくなります。肺で行われるガス交換で血液が取り込む酸素の量が少なくなり、心臓に供給される酸素が不足します。又、タバコに含まれるニコチンが体内でカテコールアミンの分泌を促し、血管を収縮させ血流を細く減少させます。

(精神的ストレス)
精神的なストレスによる緊張、不安、心配がカテコールアミンの分泌を促し血管を収縮させ血流を細く減少させます。

(寒さ)
急な寒さも全身の血管を収縮させます。そのため血圧が高くなり、全身に血液を送る心臓に大きな負担がかかります。寒さによる血管の収縮が心臓の冠状動脈にもおこるのです。

(急激な運動)
急激な運動は、筋肉の酸素の要求が増えて心臓の負担が非常に高くなり、心臓がさらに多くの拍動を続けなければならなくなり、相対的な酸素供給不足になります。

(食べ過ぎ、飲み過ぎ)

【動脈硬化が原因でなる労作性狭心症の危険因子】
高脂血症、糖尿病、高血圧、タバコなどがあります。肥満があると高脂血症、糖尿病、高血圧になりやすく、カロリーの摂りすぎに注意することが大切です。